SUSTAINABILITY サステナビリティ

基本方針と推進体制

三菱UFJ信託銀行、三菱UFJアセットマネジメント、三菱UFJ不動産投資顧問(以下、当社)、Mitsubishi UFJ Asset Management (UK)、 三菱UFJオルタナティブインベストメンツは、 三菱UFJフィナンシャル・グループ(以下、MUFG)におけるアセットマネジメント会社として“MUFG Asset Management”(以下、MUFG AM)ブランドを形成し、社会課題の解決に積極的に取組みながら、投資先の持続的な事業成長と価値向上の実現を目指しています。

当社は、サステナブル投資を進める方針としてMUFG AM各社共通の「MUFG AMサステナブル投資ポリシー」を採択しています。

MUFG AM サステナブル投資ポリシー

当社は、投資家の中長期的な資産価値の向上を図るためには、サステナビリティへの取組みが重要であると認識し、「不動産サステナブル投資ポリシー」を制定し、不動産投資運用業務におけるサステナビリティ推進に取組んでおります。

マテリアリティの特定

当社では、ESG投資のインパクトを最大化するためには、多種多様なESG課題の中でも特に重要なもの、そして当社の活動によって特に大きな改善が見込める課題を明確にすることが必要だと考えています。

ESGを通じた投資価値向上のために投資先と重点的に対話すべき内容を、「気候変動」「人権・ダイバーシティ」「健康と安全」「ガバナンス体制」「情報開示」の5つのテーマに絞り、 MUFG AMとして共通で「重大なESG課題」として設定しています。これらの5つのテーマは、投資先との対話の議題としてだけではなく、すべての運用資産で考慮しており、ESG投資の取組みを推進するにあたっての「起点」としても活用しています。

マテリアリティ・マトリクスと「重大なESG課題」
「重大なESG課題」選定プロセス

サステナビリティ委員会

当社では、「不動産サステナブル投資ポリシー」を実践し、サステナビリティヘの取組みを推進するにあたリ、経営企画部担当役員を含めた社内横断的メンバーによるサステナビリティ委員会を定期的に開催しています。

委員会構成メンバー

委員長 経営企画部担当役員 委 員 コンプライアンス室担当役員またはコンプライアンス室長、および委員長が任命した役職員
※各役員、各部長、運用実務担当者等
事務局 経営企画部

開催頻度 原則として年4回開催
主な審議・報告事項 (審議)
・サステナビリティに関する取組み方針の策定に関する事項
・前項に関する社内規程の制定・改訂に関する事項
・ファンドの保有不動産の不動産サステナブル投資ポリシーへの取組み状況
・法制度、社会通念等、サステナビリティに関する環境変化への対応に関する事項

(報告)
・外部情報会社や各種調査等によるESG関連情報や追加情報
・その他、サステナビリティに関する事項

原則として、不動産の運用担当者全員が参加するサステナビリティ委員会で、サステナビリティに関連する情報を共有し、審議・報告された事項について、職務責任権限に基づいて運用担当部署を含む各部署が決定、取組可能な施策については順次実施しています。
施策・方針の審議、進捗状況の報告、改善策の検討・実行というPDCAサイクルを回すことで、サステナビリティに関する取組みの継続的な強化に努めています。
また、サステナビリティ委員会の審議・報告事項については、投資委員会・投資法人役員会へ毎回報告しています。

イニシアティブと外部認証・評価

イニシアティブ署名・参加

当社では下記のイニシアチブに参加しています。(MUFG AMとして参加しているものを含みます)

「責任投資原則(PRI)」とは、国連環境計画(UNEP)および国連グローバルコンパクト(UNGC)によって推進される国際的な投資家のネットワークです。PRIでは、「ESG」の課題を投資の意思決定に取り込むことが提唱されており、これらの視点を投資の意思決定プロセスに組み込むことで、受益者の長期的な投資パフォーマンスを向上させ、受託者責任を更に果たすことを目指しています。
当社は、PRIの基本的な考え方に賛同し、2014年8月に署名機関となりました。

TCFDは、金融安定理事会(FSB)により、気候関連の情報開示及び金融機関の対応をどのように行うかを検討する目的で設立された「気候関連財務情報開示タスクフォース」です。
当社を含むMUFGAMは、2023年9月にグループとしてTCFD提言に賛同しました。

NZAMは、パリ協定の目標(世界の平均気温上昇を産業革命以前に比べて1.5℃に抑える努力をする)に沿い、2050年までに運用資産における温室効果ガス排出量のネットゼロを目指す資産運用会社による国際的なイニシアティブです。
当社を含むMUFGAMは、NZAMの基本的な考え方に賛同し、2021年11月に署名機関となりました。

外部認証・評価の取得

GRESBリアルエステイト評価

GRESB (Global Real Estate Sustainability Benchmark)は、不動産会社・ファンドの環境・社会・ガバナンス(ESG)配慮を測る年次のベンチマーク評価及びそれを運営する組織の名称で、責任投資原則(PRI)を主導した欧州の主要年金基金グループを中心に2009年に創設されました。GRESBリアルエステイト評価は、個々の不動産を対象としたものではなく、不動産会社やREIT、不動産私募ファンドごとのサステナビリティへの取組みを評価することが特徴です。
当社は、2018年に当時信託銀行として初めてGRESBリアルエステイト評価を取得して以来連続で、運用を受託する不動産ファンドで評価取得に参加しています。

当社が資産運用業務を受託する「MUFGプライベートリート投資法人」は、2024年に実施されたGRESBリアルエステイト評価において「2スター」を取得した他、不動産私募ファンドではオフィスファンドで「4スター」、ホテルファンドで「2スター」を取得しました。
ESG推進のための方針や組織体制などを評価する「マネジメント・コンポーネント」と、運用物件での環境パフォーマンスやテナントとの取組み等を評価する「パフォーマンス・コンポーネント」の双方で優れた参加者であることを示す「Green Star」を全参加ファンドで獲得しました。

環境認証の取得

物件運用における様々な取組みや運用体制が評価され、当社が運用を受託する複数の運用物件で不動産認証を獲得しています。環境面だけでなくESGの各側面から評価される各種認証制度を活用することで、物件の付加価値や持続可能性が可視化され、投資家の資産価値向上に資する成果になると考えています。

CASBEE不動産評価認証
CASBEE(建築環境総合性能評価システム)は、国土交通省主導のもと日本で開発された、省エネルギーや環境負荷の少ない資機材の使用といった環境配慮はもとより、室内の快適性や景観への配慮なども含めた建物の品質を総合的に評価するシステムです。「CASBEE-不動産」は、いくつかあるCASBEE評価システムの一つであり、建物の環境評価の結果を不動産評価に活用することを目的として開発されたもので、「1.エネルギー/温暖化ガス」、「2.水」、「3.資源利用/安全」、「4.生物多様性/敷地」および「5.屋内環境」という5分類の評価項目で点数化され、それにより、「Sランク」、「Aランク」、「B+ランク」、「Bランク」の格付が付与されます。その評価基準は、不動産の開発や取引の従事者がCASBEEを活用できるよう不動産評価に関連が強い項目に絞って策定されています。「CASBEE-ウェルネスオフィス」は、建物の健康性、快適性等を評価するツールとして開発されました。
当社が運用するファンドの保有物件においては、オフィス物件でCASBEEウェルネスオフィスを、住宅物件でCASBEE不動産を取得しています。

BELS
BELS(建築物省エネルギー性能表示制度)は、「建築物のエネルギー消費性能の向上等に関する法律(建築物省エネ法)」に基づき、第三者機関が建築物の省エネ性能の評価・表示を行う制度です。国が定める建築物エネルギー消費性能基準に基づく一次エネルギー消費量から算出されるBEI(Building Energy Index)の値と外皮性能によって評価され、省エネ設備がある住宅及び非住宅は0~6つ星の7段階で評価が行われています。
当社が運用するファンドの保有物件においては、ホテル物件やオフィス物件で認証を取得しています。

DBJ Green Building認証
DBJ Green Building 認証は、環境・社会への配慮がなされた不動産(Green Building)を支援するために、 2011 年 4 月に株式会社日本政策投資銀行が創設した認証制度です。対象物件の環境性能に加えて、防災やコミュニティへの配慮等 を含む様々なステークホルダーへの対応、ステークホルダーからの社会的要請への配慮、テナントニーズの多様化への対応等を含む総合的な評価が行われ、社会・経済に求められる不動産を評価・認証するものです。
当社が運用するファンドの保有物件においては、オフィスや住宅等各アセットで認証を取得しています。

環境・社会への取組み

環境への取組み

気候変動に対するリスク管理

投資判断時

新規投資の検討にあたっては、デューデリジェンス(評価)プロセスの中で、対象物件の洪水など浸水・冠水可能性について各種ハザードマップによる浸水レベルや浸水履歴などの確認を実施し、取得の判断要素の1つに加味するほか、レジリエンス向上に必要な対応を取ることも検討したうえで取得を行っています。

運用中

運用中の物件の浸水リスクの把握の他、サステナビリティ委員会において、エネルギー消費量削減施策実施状況の共有や進捗確認、物件によってはエネルギー消費量のモニタリングなどを実施し、リスクの管理を行っています。また、災害などの緊急時における案件関係者の連絡体制を整備し、適切な対応が可能な体制を整えています。

運用不動産における取組み

当社が運用するファンドの各物件において、サステナビリティの推進に資する施策を随時取り入れ、環境に配慮した運用に努めています。

  • 賃貸借契約に省エネ・環境配慮条項を導入

    賃貸借契約に環境配慮に関する条項を定め、ステークホルダーと協力して省エネなどの環境負荷の低減を推進しています。

  • 宅配ボックス、スマートエントランスの導入

    「置き配」を可能にすることで荷物の再配達という社会的な問題解決や、運搬時のCO2削減のために設置を進めています。

  • 築古物件の改修工事による環境価値向上

    省エネルギーを促進するため、各用途の物件でLED照明や節水機器の導入を進めています。
    運用中の築古物件(用途:オフィス)では、1棟借りテナント退去のタイミングでビル全体の改修工事を計画し、館内照明の一部LED化、節水型トイレ導入などの設備更新を行いました。本工事では環境負荷軽減に加え、防災・BCP面やテナント満足度向上に資する取組みも数多く推進しており、E(環境)、S(社会)分野を含む総合的な物件価値向上を実現しました。

  • 再生可能エネルギー由来電力への切り替え

    当社が運用する一部物件(用途:オフィス)では、電力需給契約について、RE100対応の再生可能エネルギー由来の電力(以下、再エネ電力)への切替を実施しました。非化石電源から作られた電力の環境価値を証明する非化石証書を組み合わせた「非化石証書付き電力プラン」を採用することで、当該物件で使用する電力の実質的な再エネ電力化を達成。これにより、物件としてのCO2排出はテナント使用分も含めてゼロになり、テナント兼投資家のCO2排出量削減期待にも応える取組みとなりました。

    ※企業が事業で使用する電気を100%再生可能エネルギーとすることにコミットする協働イニシアティブ

テナント企業とともにCO2排出量削減に貢献

サステナビリティ・リンク・ローンの調達

当社が運用を受託するMUFGプライベートリート投資法人では、サステナビリティ・リンク・ローンによる資金調達を行っています。
サステナビリティ・リンク・ローンは、借り手のサステナビリティ目標と連携したサステナビリティ・パフォーマンスターゲット(SPT)を設定し、金利などの貸付条件とSPTに対する借り手のパフォーマンスを連動させ、SPT達成への動機付けを与えることで、環境的・社会的に持続可能な経済活動および経済成長の促進を目指した資金調達手法です。本ローンでは、GRESBリアルエステイト評価のレーティングをパフォーマンスターゲットに設定し達成状況に応じて利率が変化します。

社会への取組み

社外ステークホルダーとの協働

  • 建物管理指針の制定

    当社は、不動産サステナブル投資ポリシーの内容を実践するための「建物管理指針」を制定し、プロパティマネジメント会社(以下、PM)等協力会社に対しても、不動産サステナブル投資ポリシーへの理解及び協力を要請しています。
    原則として年1回行うPMの評価にあたっては、物件管理能力や業務体制面に加え、当該指針への配慮・協力の観点も考慮しており、評価フィードバックを通じた対話を行います。省エネルギーやCO2排出削減、取引業者の選定や資材調達における環境面・人権への配慮等、物件運用時だけにとどまらずサプライチェーン上のサステナビリティ推進をステークホルダーと協働して行っていきます。

  • テナント、PMと協働した省エネ活動推進

    当社が運用を受託する物件では、ビル内掲示物やPMからテナントへの定期報告等の媒体を活用し、水や廃棄物、エネルギー消費量のデータを建物利用者あてに還元するとともに、省エネに向けた啓発活動に取組んでいます。省エネ目標や達成度をテナントやPM等関係者と共有することで、ビル全体の意識向上、活動を推進しています。

運用不動産における取組み

当社が運用するファンドの各物件において、サステナビリティの推進に資する施策を随時取り入れ、社会的分野に配慮した運用に努めています。

  • カーシェアリング・シェアサイクルの導入

    当社が運用を受託する物件で、テナントの利便性向上や地減の交通脆弱性といった社会課題解決を目的として導入しています。

  • 地域社会活動への参加

    運用物件所在地にて、清掃ボランティアや各種芸術文化イベントへの参加、夏祭りへの協賛など、催事支援を通して地域コミュニティの活性化に貢献しています。

  • テナント満足度調査の実施

    当社が運用を受託する物件で、運用面の課題を抽出・改善するために定期的なアンケートを実施、快適性の向上とテナントとのコミュニケーション強化に努めています。

  • 建物利用者・テナントの安心・安全・快適性の確保

    当社が運用を受託する物件では、消防訓練・震災訓練の実施、緊急時連絡網の整備、防災・免振設備の導入や非常用備品の備蓄等、防災・災害に対する備えに取組んでいます。また、 環境負荷軽減だけでなく、防災・BCP面やテナント満足度向上に資する改修工事を実施しており、 E(環境)、S(社会)分野を含む総合的な物件価値向上を目指しています。

    主な改修工事内容
    主な改修工事内容
  • ウェルネス認証の取得

    当社が運用を受託する物件(用途:オフィス)は物件における様々な施策が評価され、CASBEEウェルネスオフィス評価認証でSランクに認定されています。
    CASBEEウェルネスオフィス評価認証は、建物利用者の健康性、快適性の維持・増進を支援する建物の仕様、性能、取組みを評価するツールです。建物内で執務するワーカーの健康性、快適性に直接的に影響を与える要素だけでなく、知的生産性の向上に資する要因や、安全・安心に関する性能についても評価し、「1.健康性・快適性」、「2.利便性向上」、「3.安全・安心性」、「4.運営管理」及び「5.プログラム」の5分類の評価項目で点数化され、それにより「Sランク」、「Aランク」、「B+ランク」、「B-ランク」又は「Cランク」の格付が付与されます。

    CASBEE ウェルネスオフィス 2024 ロゴ